強迫性障害・摂食障害・PTSD
強迫性障害
強迫性障害の症状は大きく「強迫観念」と 「強迫行為」に分けられます。自分で考えたくもない内容の考えが、繰り返し浮かんできて中々消せない(強迫観念)と、不安になりますよね。その不安を打ち消すためにする行動が強迫行為ですが、長期間続くと習慣化し、強迫観念が意識されない場合もあります。具体的には以下のような症状がありますが、他にも様々な症状の様式があります。また、症状はストレスがかかったときに悪くなると言われています。
- 「鍵を閉め忘れたかもしれない」
- 「鍋を火にかけたままだったかもしれない」
と不安になって確認することは、多くの方が日常的に経験していることです。しかし中には、不安やこだわりが度を超していて、生活に支障を来たしている方もいます。戸締まりの確認が止められず、外出するまでに時間がかかってしまったり、「手が汚れているのではないか」と不安になって手洗いを繰り返すあまり、手荒れがひどくなってしまったり、些細な汚れが気になって、買ったばかりの家具や洋服を頻繁に捨ててしまったりすることもあります。なぜ強迫性障害になるのか、はっきりとした原因は分かっていませんが、性格、生まれ育った環境、ストレスや感染症など、さまざまな要因が関係していると考えられています。なぜ症状が続くのか、なにが影響して症状が悪化するか、など解明が進んでいることもあり、治療が可能な病気です。
摂食障害
摂食障害は、10代~20代の女性に多い病気で、「神経性食欲不振症」と「神経性大食症」の2つに大別されます。
「神経性食欲不振症」では、体重が減っているにも関わらず、太ることへの強い恐怖があり、過度な食事制限、嘔吐や下剤の乱用、無理な運動を行います。その結果、低体重、低栄養、無月経、徐脈、低血圧、低体温などを来たします。太ももやおなかなどボディラインへのこだわりが強く、1日のうちに何度も鏡を確認したり、そのために外出ができなくなったりします。極端な偏食、隠れ食い、盗み食い、むちゃ食い、万引き、自傷行為などを認めることもあります。
「神経性大食症」では、体重は標準内を保っているものの、むちゃ食いの反復と、無理な食事制限、嘔吐、下剤の乱用を認めます。むちゃ食いは、短時間に大量の食事を摂取し、しかも食事摂取に対するコントロールがきかなくなっているものです。食事制限により痩せられなかったという自己嫌悪、むちゃ食いに対する後悔、罪悪感を感じることが多く、自傷行為、自殺企図、薬物乱用、万引きなどを行ってしまうこともあります。
こうした病気の背景にあるのは、「スリムであること」をもてはやす社会、文化の影響です。マスコミや雑誌には、スリムになるための広告があふれています。日本では、20代女性の平均体重は毎年低くなっており、標準体重のー10%の一歩手前まできています。個人個人の病気の原因は異なっていても、全体として、こうした社会の風潮が影響していることは否定できません。両親の別居や離婚、両親との関わりの乏しさ、親からの高すぎる期待、家族から体型や体重に関して批判的なコメントをされることなども、摂食障害の発症に関係していると言われています。
摂食障害は、治療が可能な病気です。身体を元の健康な状態に戻すためには、次のような側面からの取り組みが役立ちます。食行動のお悩みを抱えている方は、できることから取り組んでみましょう。
望ましいこと | 望ましくないこと | |
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食事や体 | 少量ずつでも規則的に食べる1回の食事は30分以内決まった曜日の決まった時間に体重をはかる | 食べたり食べなかったりする1回の食事に1時間以上かける食事のたびに体重をはかる |
考え方、気持ち | 抱えている不安やストレスに気づく不安やストレスに対処する力を身につける | 完璧主義全か無か、という極端な考え方 |
対人関係 | 自分の気持ちを伝える練習をする断る力を身につける相談相手を持つ | つらい気持ちを一人で抱え込む他人の評価に振り回される |
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
PTSDは、過去の強い恐怖感を伴う記憶(自然災害、火事、事故、暴力、レイプなど)がこころの傷となり、そのことが何度も思い出されて恐怖を感じ続ける病気です。「突然、つらい記憶がよみがえる」「記憶を呼び起こす状況や場面を避けてしまう」「常に神経が張り詰めている」といった症状が出てきます。ストレスとなる出来事を経験して数週間後、時には何年も経ってから症状が出ることもあります。しかし、同じような経験をした人が全員PTSDになるわけではありません。どんな人がPTSDになりやすいのかは、まだ分かっていません。こころの弱い人がPTSDになるわけではなく、屈強な男性がPTSDに悩まされている例もみられます。