発達障害(ASD・ADHD)のための認知行動療法

発達障害(ASD・ADHD)のための認知行動療法

発達障害(ASD・ADHD)のための認知行動療法(CBT)は、発達特性に伴う不安・抑うつ・衝動性・対人関係の困難などを改善するために応用されています。特に、**自閉スペクトラム症(ASD)注意欠如・多動症(ADHD)**の人が、日常生活のストレスを軽減し、より適応的な行動をとれるよう支援することを目的としています。


発達障害のためのCBTの特徴

発達障害の特性に合わせて、一般的なCBTにいくつかの調整を加えます。

1. 視覚的・構造化されたアプローチ

発達障害のある人は、言語的な説明だけでは理解が難しい場合があるため、
イラストや図を用いる(例:「感情の温度計」「行動の流れを図示」など)
ステップごとに順序を示す(例:「1→2→3の順で対応」など)
ワークシートやカードを活用する


2. 感情の理解・調整スキルの強化

特にASDの人は、自分や他者の感情を理解するのが苦手なことが多いため、
「感情カード」「表情写真」などを使い、感情を視覚的に学ぶ
「どんなときに、どんな感情が生じるか?」を整理する
「怒りを鎮める練習」「ストレスを和らげる行動」を具体的に学ぶ


3. 柔軟な思考を促す(認知の切り替え)

発達障害のある人は「白黒思考(極端な考え方)」になりやすいため、
「別の視点を考える」練習(例:「違う人ならどう思う?」)
「できる・できない」ではなく、「70%できたらOK」のように考える
「失敗=学びの機会」と捉えるトレーニング


4. 対人スキルの向上(ソーシャルスキルトレーニング: SST)

会話の流れを具体的に練習する(例:「相手の話を聞く → 共感する → 自分の意見を言う」)
断るスキルの練習(例:「無理なときは、どう伝える?」)
ロールプレイで「適切な対応」を体験的に学ぶ


5. 行動の計画・実行のトレーニング(ADHD向け)

To-Doリストやタイマーを使い、時間管理を強化する
「ごほうび制度」を活用し、モチベーションを維持する
「できたこと」を記録し、自己肯定感を高める


発達障害のためのCBTの具体的な活用例

???? ASDの人向け

  • 感情の理解を深め、ストレス対処法を学ぶ
  • 社会的ルールや会話の流れを練習する
  • こだわりや思考の柔軟性を高める

???? ADHDの人向け

  • 衝動的な行動をコントロールする方法を学ぶ
  • 計画・時間管理をスムーズに行うトレーニング
  • 「先延ばし癖」を減らすための実践的なスキルを学ぶ

発達障害のCBTの効果

???? 不安やストレスが減少し、気持ちが楽になる
???? 対人関係がスムーズになる
???? 感情をコントロールしやすくなる
???? 生活の困りごとに対処しやすくなる

発達障害のある人にとって、CBTは「困難を乗り越えるための具体的な道具(スキル)」を身につける手助けとなります。

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